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「あー! あー、あーっ! もう動かないでください! 今度は頭だけじゃ済みませんよ!」
斑晶さん(頭部欠損)のファッションは、若葉色のツナギの下に、白いTシャツと、やっぱり質素な雰囲気が否めなかった。
彼は人間に混ざって庭師として働いている。今回もその作業の中で起こってしまった事故だろう。
「戻せますか?」
「……………………」
頭が無いので頷くことは出来ないけれど、斑晶さんはOKサインを指で作った。
それから瞬く間に、斑晶鉱の頭部は破片の状態から自動で復元された。
まるで花瓶が割れる瞬間を逆再生で見ているかのようだった。
「……ふぅ。どうかな? 綺麗に顔戻ってる?」
強面の男性になった。元通りだけど……。
しかし、外見とは裏腹に、穏やかな口調で斑晶さんは言う。ようやく彼と会話が出来た。
ドッと押し寄せる疲労感を堪えて、すぐに僕は気絶した柔乃さんを起こしに掛かる。
「……もしかして、その子僕のことを見て驚いてしまったかな?」
申し訳無さそうに斑晶さんは柔乃さんの顔を覗き込む。
「……起きたら謝らなくちゃあね」
ーー2分後、柔乃さんは目を覚ました。
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