第1章  怒りの頂点

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啓介さんが豆腐しか食べられないことは きっかけでしかなかったのである。 それまでに妹はマグマを溜め込んでいたのだ。 苛立ちを最大限にまで膨張させていたのだ。 そして、焦りも、不安も、不満も、怒りも、 そんな負の感情の全てを膨れ上がらせていたのである。 それは可哀そうなことだったかもしれない。 「姉ちゃんにはわからない」 と言われればそれまでかもしれない。 何度そう言われたことだろう。 「誰にも私の気持ちはわからない」 「姉ちゃんは所詮自分のことじゃないからそう言うんだ、 そういうことが言えるんでしょ」 「姉ちゃんには私の気持ちなんて絶対にわかり得ない。 私の気持ちは私にしかわからないのっ!」 そうぶつけてきた。 だけど、それは私たちはどうしてやることも出来ない 感情でもあった。 それは今日子が今日子自身で、 そして直也さんと二人で 乗り越えていくしかないことなのである。 それは今日子もきっとわかっていたことなんだと思うけれど・・・
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