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啓介さんが豆腐しか食べられないことは
きっかけでしかなかったのである。
それまでに妹はマグマを溜め込んでいたのだ。
苛立ちを最大限にまで膨張させていたのだ。
そして、焦りも、不安も、不満も、怒りも、
そんな負の感情の全てを膨れ上がらせていたのである。
それは可哀そうなことだったかもしれない。
「姉ちゃんにはわからない」
と言われればそれまでかもしれない。
何度そう言われたことだろう。
「誰にも私の気持ちはわからない」
「姉ちゃんは所詮自分のことじゃないからそう言うんだ、
そういうことが言えるんでしょ」
「姉ちゃんには私の気持ちなんて絶対にわかり得ない。
私の気持ちは私にしかわからないのっ!」
そうぶつけてきた。
だけど、それは私たちはどうしてやることも出来ない
感情でもあった。
それは今日子が今日子自身で、
そして直也さんと二人で
乗り越えていくしかないことなのである。
それは今日子もきっとわかっていたことなんだと思うけれど・・・
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