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再び耳に当てられた唇は、
「こないだの約束、覚えてます?」
と産毛を震わせる程近くで私にそう囁く。
私が耐えきれずに、コクコクと素早く頷くと、
「じゃあ、土曜日に」
と囁くように言い残し、最後、日高くんは私の頬にキスをして足早に会議室を出て行った。
ガクリと力が抜け、思わず後ろにあったテーブルで自分の体重を支える。
「約束……」
そう呟いてあの日の事を思い出す。
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