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「それにしても酷いな。私が戻るまで待っててくれたら良かったのに……」
そう言いながら、自分のグラスに視線を落とす。
背の高い細身のグラスには、恐らく氷で薄まっているであろう液体が1/5程。
見れば、日高くんのグラスももう空に近い。
「じゃあ、私達も出る?」
私がそう言いながら椅子に手を付くと、
「あ、俺、今頼んじゃったんですよ。真中さん大丈夫だったら、もう一杯だけ付き合って貰えません?」
と、爽やかな笑顔でそう言われた。
大丈夫も何も……後は帰って寝るだけ。
「じゃあ、もう一杯だけ……」
その時の私に、彼の申し出を断る理由は特に無かった。
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