fin de l'automne

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痛み分けだなんて そう言われ続けた人生だった 妥協と妥協の交錯する日々を思う 私も一つ歳を取ってゆくんだ 針の穴に通すくらいの祈り 小さい私にはそれくらいでいい 舗装されて消えた足跡だって タイル張りに街が変わったって 目の前に広がる景色は 下り坂に差し掛かったせいで そう気付いたのはすぐだった 頂というのは狭いことも知った 登り坂が見えなくなって もう階段を降りるだけになった 最後の寝床でそう言って 最後の一息で降り切ろうと思う 残した葉は数枚だ だから深紅に染めてから散らしたい
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