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手に取った文芸誌をめくって
活字の表面を目でなぞってやめた
外では低周波の夜が更けてるらしい
温かいレモネードでも買おう
肉まんを手に取る人がいる
うっとうしい湯気が立ち込めて
くすんだ藍色のコートが財布を探る
それから煙草の銘柄を呼んでいた
バックライトが光る
風がそこを横切っているのだろう
煙る夜に彼が消えていって
バックライトも合わせて消えた
誰かが忘れていった傘は
僕のと同じ 柄が黒いビニールだ
更けて煮詰まった頃に降る雨は
控えめに流れてた有線に絡んでいく
店員の欠伸に次の空気を感じたから
僕はすぐに店を出ようと思った
この隙間の季節に見る
夜の雨粒には色が付いている
白を嫌がる、そういう類いの色だ
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