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俺の番が来て立ち上がる。
「名前は水瀬静樹。趣味はネットサーフィンと読書。嫌いなもんは沢山あるが、これだけは言っておく。俺は男に興味なんてない。ノーマル、ノンケだ。そこんところちゃんと理解しておけ、以上。」
ぽかんと呆気に取られている周りを放置して席に着いた。
吉良先生は名簿を見てああと声を上げる。
「水瀬は外部生だからな、ノンケなのも無理はない。」
外部生、と聞いて教室中がざわめく。そんなに珍しいのか、外から来るやつが。そう思っていると村崎が後ろから耳打ちしてきた。
「確か今年の外部からの入学者は一人だけだから。一人も来ない時もあるし、かなり珍しいんだよ。」
「だからと言ってこれじゃ動物園のパンダ状態だぜ…。」
「まあまあ。あ、これは忠告な。ノンケを狙う男も中にはいるから襲われないよう気を付けとけ。」
「マジか。」
ノンケ専門とか何その変態。母さん、姉さん、俺生きて帰れるか心配になってきました。だってここまで凄いとは思わなかったから。
静まる気配のない教室を吉良先生の鶴一声で黙らせ村崎が立ち上がる。
「俺は村崎翔真。趣味は読書と人間観察。好きなものは恋バナとラブロマンス。今のところ恋愛はするつもりないから普通にダチになってくれると嬉しいな。」
今年いっぱいはよろしく、で締めくくった村崎はイケメンだった。
イケメンめ…!てか恋バナとラブロマンスとか女子か!お前も女子か!
そう思っていると突然ガラリと後ろの扉が開いた。そこから入ってきたのは明らかに染めただろうグレーの髪にカラコンと思われる赤い瞳、無数のピアス、着崩した制服、じゃらじゃらと着けられたシルバーアクセ。そしてイケメン。イケDQN。なんだよイケメンかよペッ!
「八神飛龍(やがみひりゅう)だな。入学早々遅刻とは良い度胸だ。」
「あぁ?うるせえな、いつ来ようが俺の勝手だろ。」
「チッ…とにかく席着け。自己紹介…はどうせしねえんだろ。」
吉良先生の言葉を無視して八神とやらは荒々しく俺の二つ後ろに座った。
吉良先生は明日の授業は午後からの二時間だけだということなどの諸連絡を伝えHRを終わらせた。八神はちょっと来い、と無理矢理連れて行ったが。
「教師×不良の特別授業…!?も、萌える…!」
「は?なんつった?」
「いや、早く寮に行こうぜ。」
村崎の言う通り俺達は寮に向かった。
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