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入学式は講堂で行うみたいだから正面玄関から校舎に入り、新入生用の花を貰い左胸につけて講堂に向かう。
周りを見ると男男男。これを幼稚園の頃から見ていればホモやバイになるのも頷ける。一部女の子にしか見えないのもいたけど。ホントに股にマグナムついてんの?ってくらい可愛かった。あんなの顔面詐欺だろ。
あ、講堂に着いた。新入生エリアなら何処に座ってもいいみたいだから一番後ろの右端に腰掛け、ポケットから携帯を出す。大型掲示板を開いて適当なスレで雑談しているとあっという間に時間は過ぎていった。
もう皆席に着いていてざわざわとしている。俺の隣にも男子が座っている。ここが共学なら女の子かもしれなかったのに。
さりげなく隣の男子を観察する。栗色の短髪に黒い瞳の快活そうな男子。うん、まあ、あれだ。
イケメン爆ぜろ。
くそがあああこいつめっちゃイケメンじゃねえか!お前なんかガチムチに掘られちまえ!母さんと姉さんの餌食になれ!
なんてガン見して念を送っていたら視線に気付いたのか俺の方を向いた。ばちっと目が合う。逸らしたら負けな気がしてそのままじっと見つめ合っていたら、イケメンがえーっと、と困ったように笑んだ。
「俺の顔に何かついてる?」
「眉と目と鼻と口がついてるな。」
「や、そうじゃなくて…なんで見てんの?」
「イケメン滅びろって念送ってた。」
この時の俺の目はきっと死んだ魚みたいな目だったと思う。イケメンは苦笑し、頬を掻いた。
「俺よりイケメンはこの学園にはいっぱいいるぜ。」
「じゃあ全員爆ぜろ。そして女の子を入れるんだ。」
「あれ、もしかしてノーマル?珍しい。」
イケメンは俺を見て目を丸くした。なんだよ、どうせお前はホモかバイなんだろ。はいはいホモホモ。
「実は俺もなんだ。ノーマル同士仲良くしねえ?」
マジか。
…マジか。
すまん、ホモホモ言って。仲間だったとはな。入学一日目で仲間が見つかるとは思わなかった。
「ああ、俺は水瀬静樹。よろしくな。」
「俺は村崎翔真(むらさきしょうま)。翔真って呼んでくれよ。」
「やなこった。」
村崎はえぇっと声を上げてガーンという効果音がぴったりな表情をした。
こいつ、なんかいじりやすそうだな。
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