【薔薇色♂の】入学式【高校生活】

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「あー…ごめん、水瀬。」 女々しい野郎共だなと思っていたら村崎に謝られた。謝られる心当たりがないから何が、と尋ねてみる。 「自分で言うのもあれだけどさ、俺ってまあまあ人気あんだよね。だから…」 「ぽっと出で平凡な俺が仲良さげにしていて何あいつ!ってなってんだなおk把握。はいはい女子女子。」 「はは…まあそういうことだ。」 だったら安心しろ、俺は!女の子が!好きだ!男と付き合うなんて考えらんねえ。人の趣味にとやかく言うつもりはねえが当事者になるなんて考えただけでも吐き気がする。第一勃たねえし。 視線を無視し席に着く。名前順で窓際の後ろから三番目の席。真後ろには村崎が座った。そのまま他愛のない会話を続けていると視線の主もやがて諦めたのか段々気にならない程度には落ち着いた。 そうこうしてる内にHRの時間になったようでガラッと音を立て教室の扉が開いた。途端に上がる黄土色の悲鳴。あるえデジャブ。 「キャー!吉良せんせえ!!」 「抱いて―!!」 「抱かせろー!!」 「おーし五秒以内に黙って席着かねえと内申下げっぞー。」 なんて横暴なことを言いながら入ってきたのは本当に教師か?と疑問になるような男だった。茶色い瞳に長めの金髪をワックスで遊ばせて着崩しに着崩したスーツの、どっからどう見てもどこぞのホストなイケメンだった。なんだよこの学校イケメン多すぎじゃね。腹立つ。顔面パンチ食らわせたい。 流石に内申を下げられるのは困るのか皆慌てて黙って席に着いた。 「このクラスの担任を務めることになった吉良優雅(きらゆうが)だ。担当教科は数学。俺の言うことに従わねえ奴は厳罰だ。」 マジで横暴な野郎だなこいつ!見た目ホストのくせに!ホモめ! ホスト…あー、吉良先生は出席番号順に簡単な自己紹介をしろ、と言った。廊下側の一番前の男が立ち上がり名前と入る予定の部活、趣味だか好きなもんを言っていった。 自己紹介なんてめんどくせえな。やべ、このままだと某忍者漫画の影野郎になっちまう。まあでも面倒なもんは面倒なんだから仕方ねえ。 順番は回り直に俺の番。何を言おうか。あ、絶対言わなきゃなんねえことがあったな。さっきも言ったが俺は当事者になるなんて反吐が出るほど嫌だ。だからこれを言っておけばまず手を出す輩は減るはず。そもそもこんな平凡男に手え出す奴なんていないだろうけど。
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