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次の日、朝礼があり松戸の死を全員が知った。
皆がまだ悲しみに包まれている中、一人何も感じずに教室へと行く。
戸を開けた瞬間僕はその光景に絶句し、息を飲んだ。
僕の席にいるはずのない松戸がいる。
『君いつも僕を見て笑ってたよね…もぅ笑えないよ!!』
松戸の笑い声が教室中に響いた。恐怖に目を閉じ耳を塞いだ。
笑い声が止み恐る恐る目を開けると、眼前に松戸がいた、氷の様に冷たく刺す様な目をしていた。
短い叫び声を上げ、再び目を閉じた、耳には笑い声の余韻が残っている。
もぅ一度目を開け辺りを見渡すと松戸はいなくなっていた。
とりあえず落ち着こうと松戸がいた僕の席に座ると、黒板の大きな殴り書きの文字が目に入り僕の時間は止まった。
『次はお前』
何がなんだか分からない…とりあえず自分が書いたと思われたくないと思い、黒板へと消しに近づく。
後ろから違和感を感じ振り返ると、またあいつがいた。
あいつは満面の笑みを浮かべ、消えていった。
皆が教室に戻って来た時、僕は何事もなかったかの様にいつも通り机にふせていた。
しかし頭の中はさっきの出来事でいっぱいだった…
「何でこんな事になったんや…松戸は控え目やったが良い奴やった」
と涙を浮かべ藤原先生が話している。
すると神妙な面持ちになり。
「そういえば凄い不思議な事があってな、松戸が飛び降りた所に紙が一枚あってな、遺書かと思って警察の人に、何てかいてあるんですか?って聞いたら、ただ一言だけ書いてあったらしいわ…」
藤原先生は言いにくそうになった。
「何て書いてあったんすか?」
「吉川は松戸と仲良かったやろ?何か知らんか?」
「だから何て書いてあったんすか?」
藤原先生はため息をつき、黒板に何かを書き出した。
『次はお前』
教室中がざわつく中僕はその文字を見つめ凍りつく程の寒気に襲われた。
もやもやした気持ちのまま学校が終わり、早く帰ろうと、足早に教室を出ようとしたその時。
「あいつほんま意味分からんわ。何か気持ち悪いし。これから金どないしょ?バイトも面倒やし」
と吉川の声が聞こえた。
「また代わり捜したら?」
「そやなぁ誰にしよか?友達おらんくて、誰にもチクる度胸のない奴にせなな」
と聞こえた瞬間僕の肩が後ろへと引っ張られた。
「みーつけた」
その瞬間松戸の笑みが脳裏に浮かんだ…
おしまい。
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