いつもの風景

2/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
見下ろすとただ真っ黒で 恐怖はなくただ落ち着きを感じる 紙切れだけを残して闇へと飛び込む… 「ピピピピピ」 いつもの耳障りな電子音が部屋中に響き渡る、僕はそれをため息混じりに消して、いつもと同じようにキッチンへ朝ご飯を食べに行く。 「おはよう」 と母が言う。それにつられるかのように父も。 「守、おはよう」 と言う。毎朝二人の笑顔を見る度に、僕は本当にこの二人の子どもなのかと考える。 僕は無言のまま出された物を食べた。二人が僕の話をしているらしいがどうでも良かった。 二階に戻り制服に着替え、何も言わずに家を出ていく。 後ろから母と父の大きな声が聞こえたが、そのままドアを閉めた。 外は酷く蒸し暑く数分歩くと汗が滲み始めた。 マリオネットの様にただ歩いている、するといつもの光景が目の前に現れた。 同じクラスの松戸、高橋、斎藤、吉川の四人だ。 この四人だけが僕の暇つぶしの種だ。かといって特に仲が良い訳ではない、ただ見ているだけで暇つぶしになる。 しかし、最近松戸から妙な視線を感じる、助けを求める目ではなく、まるで刺す様な強い視線を。 「松戸、喉渇いた!!オレンジジュース希望。斎藤は??」 「俺コーラで、高橋は??」 「俺もコーラで。」 「えっ…でもここらへん自販機置いてへんから学校で…」 ドン!!と鈍い音と共に松戸の体がくの字に曲がる。 「松戸…喉渇いた!!」 「ご、ごめん…行って来ます」 松戸からまたさっきの視線を感じた、僕はちょっとした寒気を覚えた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!