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見下ろすとただ真っ黒で
恐怖はなくただ落ち着きを感じる
紙切れだけを残して闇へと飛び込む…
「ピピピピピ」
いつもの耳障りな電子音が部屋中に響き渡る、僕はそれをため息混じりに消して、いつもと同じようにキッチンへ朝ご飯を食べに行く。
「おはよう」
と母が言う。それにつられるかのように父も。
「守、おはよう」
と言う。毎朝二人の笑顔を見る度に、僕は本当にこの二人の子どもなのかと考える。
僕は無言のまま出された物を食べた。二人が僕の話をしているらしいがどうでも良かった。
二階に戻り制服に着替え、何も言わずに家を出ていく。
後ろから母と父の大きな声が聞こえたが、そのままドアを閉めた。
外は酷く蒸し暑く数分歩くと汗が滲み始めた。
マリオネットの様にただ歩いている、するといつもの光景が目の前に現れた。
同じクラスの松戸、高橋、斎藤、吉川の四人だ。
この四人だけが僕の暇つぶしの種だ。かといって特に仲が良い訳ではない、ただ見ているだけで暇つぶしになる。
しかし、最近松戸から妙な視線を感じる、助けを求める目ではなく、まるで刺す様な強い視線を。
「松戸、喉渇いた!!オレンジジュース希望。斎藤は??」
「俺コーラで、高橋は??」
「俺もコーラで。」
「えっ…でもここらへん自販機置いてへんから学校で…」
ドン!!と鈍い音と共に松戸の体がくの字に曲がる。
「松戸…喉渇いた!!」
「ご、ごめん…行って来ます」
松戸からまたさっきの視線を感じた、僕はちょっとした寒気を覚えた。
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