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教室に入り、誰と会話を交わすことなく席についた、ざわつく教室に別段興味を引かれる事もなく机に伏せる。
チャイムの音と同時にガラッと戸が開き担任の藤原先生が入ってきた。
「おはよう、今日はえらく蒸すな、おかげで背中に羽がはえたわ」
と後ろを向くと教室に笑いが起こった。
確かにシャツに汗が染み込み羽の様に見える。
「出席とるぞ、んっ?斎藤、高橋、松戸、吉川はまた遅刻か?あいつらはいつも一緒やなぁ、仲良き事は美しきかな。」
その言葉に教室中がうつむく。
それに気付かず先生は出席をとり始めた、出席をとり終える頃、戸が開き四人が入って来た。
「すいません、遅れました、松戸がお腹痛いって言うもんで心配で。もぅ大丈夫か?」
「う、うん大丈夫。ありがと」
「そうか、ほんならセーフや。一限は国語やな、しっかり頑張れよ」
と言い先生が出て行く。
「お前遅いからやろ!!謝れや!!」
と松戸の髪の毛を掴み吉川が言っている、この状況を誰も止める事なく、むしろ好奇の目で眺めている。
可哀想と言う奴もいるが誰も動こうとしない。
この瞬間だけ僕が皆と同じ人間だと感じる事が出来る。
本当にこの四人は見ていて飽きないなと若干の笑みを浮かべながら思った。
すると松戸があの目でこっちを見て何かを呟いている。
それが一体何を言っているのか分からなかったがさっき感じた寒気とは比較にならない程の寒気と恐怖を感じさせた。
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