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第五章 再会
翌日から翔央はなぜか毎日一時間目を遅刻していた。
もともとよくサボったり遅刻したりはする方だったが毎日遅刻と言うのは初めてで担任から生活指導の呼び出しをくらう。
「どうしたの?石田君」
指導と言いながら自分でも経験不足でどう対処したらいいのか分からずおろおろしている担任教師に翔央はちょっと苦笑した。
「いや、受験勉強が大変で・・・毎日寝不足なんっすよ」
「受験・・・勉強?だってまだ・・・」
「先生!」
「は、はい!」
いきなり机を叩いて立ち上がった翔央に釣られて担任教師も立ち上がる。
「医学部の受験は簡単じゃないんですよ!今からでも間に合わないかもしれない」
「でも・・・石田君の成績だったら・・・」
担任はちょっと翔央個人の成績や生活態度の記録を見る。
「この成績だったらそんな苦労はなく合格すると思いますよ・・・」
「受験に絶対はない、って先生たち皆な言ってるじゃないですか」
「でも、だからと言って毎日遅刻するのは良くないですよ」
「はい、すみません」
おとなしく翔央は頭を下げた。
「気をつけます」
(どうせ今月いっぱいだからさ、大目に見てよ・・・)
とは言えない。
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