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その瞬間、
ついに沙樹の耳にひとつの『音』が聴こえた。
それは途切れ途切れだったが、
明らかに初めて聴くものだった。
均整のとれない、
まるで産まれたての赤ん坊のようなその『音』に、
外部の鬼達が呼応している。
(───まずい。)
「桜城、外を頼んでいいか・・?
それと生徒を安全なところへ・・!」
「ああ、鬼の居場所さえわかれば、まとめて一掃できる」
彼女はいつものように片方の唇を上げてみせる。
───まだ人間と鬼の狭間を行き来している状態なのかもしれない───
沙樹は考える。
もしかしたら抵抗しているのではないか・・?
鬼へと変貌することを───。
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