第1章

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それから5年の月日が流れた。 監視といっても、つまみ食いしたり、お茶飲みして無駄話したり買い物に付き合わされたりと結構楽しくやっていた。 主からようやく嫁を迎えるから帰ってこいと言われた。 「じゃあな 姫ちゃん」 「…ねぇ 浩大、一つだけお願いしてもいい?」 「なに?」 「…もう姫じゃないし、玲奈って普通に呼んでほしいの。一人の友人として」 「…」 「そしたら、すっぱり忘れられそうだし。なにもかも…」 何も語らない浩大に、目を向けた。 「やっぱり、無理よね」 「…じゃあな 玲…奈」 顔を紅くし、ぱっと屋根に登る浩大に涙目になりながら、手を振った。 友人なんて言葉が恥ずかしいのと上手く言えない感情が同時に湧きおこった。 あの子との生活が長すぎて、楽しかった想い出がありすぎた。 忘れたくなくて、あの子の家の方角を眺めていた。 しばらくして、主は、嫁を連れてきた。 嫁は、玲奈、本人で二人で苦笑いした。 二人が、廊下を幸せそうにあるいてくる。 玲奈…呼べない名前を舌で転がした。 …まだ残る、想い出が能にフラッシュする。 隠密は、護り人を名で呼ぶことはない。 感情が芽生えてしえば、空きができるから。 目を閉じて、感情を押し殺す。祈るように手を組んだ。 これからは、二人纏めて護ってやるよ。 監視後の後遺症 玲奈×隠密
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