第六章:悲劇のみが終わりを告げる

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むしろ、同じ悩みを持つ仲間として共感できる部分も多いくらいだったのだ。 だから、学校へ来なくなったことに不満はなかったし、海斗の両親や担任から相談をされたときも常にとぼけて庇い続けた。 そうして、海斗の日常が変化して間もなく、僕たちにとってのターニングポイントとなる出来事が発生してしまう。 自室に籠城を続ける海斗へ業を煮やした明久おじさんが、食事かトイレに行くため部屋から出てくるのを待ち伏せし無理矢理階下へ引きずり出すという強行手段を決行したのだ。 リビングへと連れたこられた海斗は、そこで数時間に渡り暴言紛いの説教をされた。 お前は男らしくない、人の目を見てはっきりと喋れ、引きこもっている理由などどうせくだらないものだろう、お前は家族を苦しめている自覚を持て、この家を継ぐ長男としてその自覚すらない腑抜けなのか? 浴びせられた言葉の一つ一つが、海斗の胸を抉るものばかりだった。 これが他人からの言葉ならまだ良かったと、海斗は言った。
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