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「ん? どうして?」
「どうしてって……。あのね、楓。私だってさ、真面目に頑張ってんのよ? この歳まで仕事頑張って、それなりに自分を高めてきたとは思ってる」
「良いことじゃん。その調子だよ」
「……楓、あんた彼氏は?」
「は?」
想定外の問いかけに、思わず目が点になる。
「そんなのいるわけないじゃん。生活の邪魔だよ」
ただでさえ仕事で手一杯でプライベートを犠牲にして生きているのに、恋人なんか相手にしている余裕はない。
むしろ、作ろうという発想が皆無だった。
「楓、そっくり言葉を返すけど、私たちもう二十七歳だよ? そろそろ身を固めたいとか焦らない? 旦那どころか、彼氏もいないとか悲しくならないかな? 夜とか、こうふっと不安になったりとかしないわけ?」
「仕事の電話がくるんじゃないかって不安になるときはしょっちゅうある。油断してるときにかかるから腹立つんだよね、あれ」
「……子供欲しいとか思わない?」
「苦手だからあんまり。園児とかさ、接し方がわからないんだよね。理屈通じないし」
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