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【1】
七月五日、月曜日。
外は生憎の雨ではあったもののそれほどジメジメすることもなく過ごしやすいこの日に、わたしはまた明子に呼び出され前に足を運んだファミレスへとやってきていた。
時刻は午後の零時を過ぎたばかりで、こうして座っている間にも次々と空席が埋まっていく。
「先に何か注文しておいたらどうだ?」
隣の席に座る霧洲さんが、手持ち無沙汰にメニューを眺めながらそんな言葉をかけてきた。
「いえ、明子が来てからで良いですよ。どうせ時間はまだありますし」
明子からのメールがきたとき、たまたま霧洲さんが一緒だったので誘ってみたのだけれど、このことを明子本人はまだ知らない。
どうせまた合コンか何かの誘い目的で呼んだのだろうし、その牽制要因として霧洲さんを利用しておけば下手な話は切り出せずに終わるだろう。
「そうか? まぁ、今日は特に急ぐような仕事も入ってないからな。久々に少しゆとりのある時間が過ごせそうだな」
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