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「そんなにゆとりもないと思いますけどね。まだ事件の裏付け取らなきゃいけない部分も色々残ってますし」
「その辺は、難しいことじゃないだろ? 灯馬 冬美も久我 海斗もこっちの取り調べには素直に応じてくれてるし、嘘をついてる感じもない。あんなことをしてしまったが、二人とも根は良い子だ」
そっとメニューを脇に置き、霧洲さんは苦笑にも似た笑みを浮かべそう呟いた。
「それはわたしも同感です。素直だからこそ、自分たちの置かれていた状況や環境に押し潰されそうになって悩んでいたんでしょうし」
「あの二人の気持ちを考えると、少し同情してしまう部分もある。まぁ、それで殺人が正当化されるわけじゃないけどな。……お? 来たんじゃないか?」
入口を窺っていた霧洲さんが、小さく手を上げるのを見てわたしもそちらへ振り返る。
前に見たときと同じ白いスーツを着た明子が、手を上げる霧洲さんに気がつき少し驚いた様子を見せていた。
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