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たまたまお見舞いに来るタイミングが重なり、一緒に病室へ入ってきたのを今でもよく覚えている。
あのときはそれなりに良い感じでやり取りができていたし、この二人の相性は悪いというわけでもないだろう。
「もうメニューは決めたんですか?」
「いや、こいつが保村さんが来るまで待つと言ったからまだ決めてないんだ」
「あ、そうでしたか。何か、申し訳ないですね。霧洲さんも来てるなら仕事なんか後回しで来たのに」
「え? 後回しにできるならわたしだけのときもそうしてよ」
「楓は別に良いの。どうせ待たされても平気なタイプでしょ? 合コンには来ないし」
「……」
どさくさに紛れて日頃の愚痴的なものまで吐かれたような気がしたが、あえて深く食い下がることはしないでおく。
ここで食いつけば、面倒な方向に話題がシフトしていく可能性は極めて高い。
「あー……、どうしようかな。私今日はピラフが食べたい気分かも。これ、エビピラフ。決めた。楓と霧洲さんは何にするんですか?」
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