†エピローグ†

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口を閉ざしたわたしからメニューに目を移していた明子は、数分間に及ぶ吟味の末に注文を決めニコニコしながら再び顔を向けてきた。 「ああ、俺はマルゲリータとサラダを頼む」 「わたしは……イカスミパスタで良いや」 明子が来る前に注文だけは決めておこうと予め頼むものは目星をつけていたのだが、それはどうやら霧洲さんも同じだったようでわたしたちはほぼ同時に食べる物を口にした。 「は? 楓、今何て言ったの?」 「ん? イカスミパスタだけど。何?」 「いや、それこないだ私が食べたときかなり批判的だったじゃん。どうして急に頼む気になったのよ?」 「あれからずっと頭の中にこびりついてたんだよ、明子が食べてるイカスミパスタのことが。あんな食べ物に見えないようなパスタのどこが美味しいのか、考えたらモヤモヤしてきてさ。それならもういっそのこと一度食べて美味しいのか不味いのか白黒付けてやろうって思って。次ここに来たら頼もうって決めてた」
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