解放を願う殺人

†エピローグ†

「確かにあの子たちは普通の人には無縁な深刻な悩みを抱えて生きてたけど、どう考えても殺人なんて起こす必要性のある話じゃなかった。今回の事件は、単に逮捕された二人がまだ未熟過ぎたがために起きた事件ってイメージかな。わたし的には」

「どういうこと？」

「好きになった相手が、すごい窮屈で自由のない環境に身を置いていた。そして、このままだと将来そこから抜け出せない可能性が高い。だから、どうにかして助けてあげたい。好きな人に自分らしく生きる権利を勝ち取らせてあげたい。そういう想いが発端で起きちゃった事件なんだけど、これは殺人なんて最悪な方法を選択しなくてもいくらでもどうにかできた問題のはずだった。でも、犯人はそれができなかった。すぐにでもなんとかしなきゃっていう、無駄な焦りとどうせ周囲に自分たちは受け入れられないっていう決めつけた固定観念に飲み込まれて、冷静さって言うか、正攻法で問題を解決しようって考えが欠落しちゃってたんだろうね」