†エピローグ†

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バス停のベンチで項垂れながら涙を流していた灯馬 冬美の姿が脳裏にフラッシュバックする。 助けようと思って動いたことが、全てを破滅させる結果を招き寄せただけだと気づいたその絶望感は、きっと一生あの子の側に付きまとうのかもしれない。 「……せめて、もう少し後だったら何かが変わってたのかもしれないな」 黙って話を聞いていた霧洲さんが、ポツリと声を漏らしてきた。 わたしと明子が顔を向けるのを見て、肩を竦めながら言葉を付け足してくる。 「今の彼らじゃなくて、せめて後一年か二年先に今回の問題に直面していれば、或いは悲惨な現実を回避できたかもしれないってことだ。あとちょっとで学校を卒業できるなら、それをきっかけにして家から逃げることだって選択肢として浮かんだかもしれない。もっと気持ちを落ち着ける時間を確保していれば、家族と腹を割った話し合いや専門的な団体なんかに相談しようと思えるようになっていたかもしれない。
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