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「第十三区の状況を報告せよ」
プロジェクターの向こうから、
機械音と間違える程の冷徹な声が聞こえる。
「は・・・。
現在、12歳から15歳のプロトタイプT-02グループが、
約2000人、養育されています」
ただし、今この時までは・・・だ。
タイムスケジュール通りであれば、
第十三区もそろそろ刈入れ時だ。
だから次に淡々と告げられた内容に、男は何も思わなかった。
「それでは、12月25日、1300を持って、
回収作業を開始する・・・」
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昔は人間が10ヶ月弱、
子宮内で胎児を育てていたらしい。
そして、激烈な苦痛と共に、
その胎児を産み落としたという・・・
まるで、獣のように。
今現在は、そのような野蛮な習性からは、
人類は別れを告げた。
子宮の代わりに、清潔なガラスケースの中で、
子供たちは誕生するのだ。
そして、これは一部の人間しか知らない事実だが、
そのうちの一部の胎児たちの遺伝子を元に、
意図的にクローンが作られている。
これは、人類の可能性を広げ、
我が国に営利をもたらすための試みだ。
作られたクローンたちには、
個別に様々な遺伝子操作が行われている。
もちろん、コピーされた子供本人も親もその事実はしらない。
そして国内のあちこちにある、
「児童養護施設を兼ねた学園」の中で、
親を知らず、ほとんど外界と触れること無く
そのクローンたちは生活をしている。
そして子供たちには、一定の教育期間を経て、
「収穫」の時期になると、「刈入れ」が行われる。
より強い、理想的な遺伝子を持ったモノを選別するため。
または、より強靭で優秀な頭脳を持ったモノだけを残すため。
そういった者たちを軍事利用するために、
1%の勝者を選ぶ『軍事訓練』が行われるのだ。
ただ、政府が待ち望んだような、
究極状態で発動すると予想された
突然変異種はまだ現れていない・・・。
それがこの実験の最大の目的ではあるのだが・・・。
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