-Prologue-

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「・・・ああ、私は死ぬんだ・・・」とようやくすべてが理解出来た。 ・・・貫かれた瞬間は、熱くてたまらなかった・・・。 あれは耐え難い痛みを、脳が熱に変換してたんだ。 あの熱さを思い出して、脳を激しく打ち付けられるような、激しい痛みの感覚に、うっと・・・呼吸が乱れた。 あのサイレンから、あの紅いビームに貫かれて、友達がどんどん死んでいった。 私達を守ろうとした、数少ない先生たちも・・・ アレが納得するまで殺戮は繰り返されている。 だから・・・今度は私の番なんだ。 私はゆっくりと貫かれた傷の辺りに触れる。 痛みが走ると思ったそこは、不思議なほど違和感がなくて。 代わりに微かな掻痒感がある。 私は小さな予感を持って、慌てて制服の白いシャツをめくり上げ、 スカートを少し下げて、下腹部に近い部分の傷を覆う血液を拭き取る。。 一瞬トモくんが急にそんなことをし始めた私を見て、 かぁっと頬を染めて、視線を逸らす。 「・・・何・・・してんだよっ」 心配そうで、苦しそうで・・・いつも優しいトモくんの声。 「トモくん・・・私、傷、ないのっ」 シャツの周りは真っ赤に染まっている。 けど、その中心部は、傷ひとつない。 「・・・けどっ!」 トモくんが真っ赤な顔をしたまま、確認しようと指先を伸ばしかけて躊躇う。 私は思わずその手を掴んで、自らの下腹部に触れさせる。 「・・・っつ・・・」 真っ赤になったまま、トモくんは諦めたように指先で私の腹部を探る。 「・・・え?」 トモくんが顔をばっと上げる。 思わず下を向いていた私と唇が触れ合うほど近くて。 「!!!!」 慌てて二人で視線を逸らす。 「・・・ない・・・傷が」 ぽつり、とトモくんがそう呟く。 「・・・私、撃たれたよね。皆が殺されていった、 あの紅いビームで・・・」 思わず二人で顔を覗き込みあう。 その瞬間、ピピピとトモくんの腕の携帯電話がアラームを鳴った。
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