第15章

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1月2日。初売り。 うちの店は正月向けに、ちょっとしたレアアイテムを店頭に出すこともあって、初売りは結構な忙しさだ。 昨日は久しぶりにかなり滑り込んだため、見事に全身筋肉痛。 痛みと格闘しながら、いつも以上に笑顔を張り付けて接客した。 昼過ぎ。ようやくひと段落したため、スタッフに言づけて遅めの昼休憩を取りに店を出た。 行きつけのラーメン屋に行こうとして、通りの先のほうをふと眺めた時だった。 通りの花壇の淵に腰掛けている女性が目に留まった。 結構距離があるため、細かい所までは分からないが、おそらくあれは理央だ。 同時に目に入って来たのは、理央の目の前に立つ男。 アイツは誰だ? ナンパか? しばらく様子を観察していると、その男が理央の頭に手をおろそうとするのが見えた。 「!!」 すぐさまダッシュしようとしたが、次の瞬間、思いとどまった。 理央が男の手を払いのけた途端、今度は男が理央の頭を拳でグリグリしたのだ。 その雰囲気は明らかに親しげで、“じゃれあってる”という言葉がピッタリだった。
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