405人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい! 理央ー! 麻衣子!」
その時、少し離れたところでみんなと一緒にいた亮平が私たちを呼んだ。
「なにー?」
すぐに駆け付けると、もうお酒が無くなったから近くのコンビニまで買い出しに行ってほしいとのことだった。
ミッチーと未来は酔っぱらって、なんだか分からないテンションで盛り上がっており、陸くんと咲はトイレに行ったらしく、まだ戻っていないとのことだった。
「とりあえずあの二人は千鳥足で戦力になんないから、お前来てくんない? オレも行くから」
結局、麻衣子にへべれけハイテンション二人組を託し、私と亮平は大通りの向こう側にあるコンビニまで行くことになった。
一週間前、まだ七分咲き程度だった桜は、すでに満開になっていた。
「やっぱ満開だと、桜のモリモリ加減が違うよね」
「ふはっ。何だよ、そのモリモリ加減て」
「えっ。ほら、満開だとボリューム感があるじゃん。隙間なくピンク一色でモコモコしてて、なんか既視感が……あっ、そうそう!綿菓子みたいじゃない?」
「お前はホントに……やっぱ色気より食い気だな」
そんな軽口を叩きながら、満開の桜の中を抜けていく。
少し風が出てきたのか、チラチラと桜の花びらが舞い落ち始めた。
最初のコメントを投稿しよう!