第1章

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秋も深まり、日の入りが早くなったある平日の夜。 仕事から帰宅して夕飯を食べ、ソファで寛ぎ始めた矢先、携帯に登録してない番号から着信があった。 ……え? 誰だろう。  訝しく思いながらも、固定電話の番号だったため、とりあえず電話に出てみると、『GREEN』というスニーカーショップからで、その人は「羽山」と名乗った。 『GREEN』は、小さな店舗の割に品ぞろえが良く、地元のスニーカー通がよく行く店だ。 そう、店は知ってる。 だが、なぜ自分にその店から電話がかかってくるのか、皆目見当がつかなかった。 「この前、オトモダチと一緒にうちの店に来てくれたよね? そん時、喋ったんだけど……覚えてる?」 え?……じゃあ今、話してるのは『あの人』ってこと? 『あの人』というのは、私が高校生の時、『GREEN』で初めてスニーカーを買った際に接客してくれた人のことだ。 そしてこの前、友人の麻衣子と一緒に『GREEN』に行った時、接客してくれたのも彼だった。 ちょ、ちょっと待って。 どういうこと? さっきとは違った意味でドキドキしてきた。
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