405人が本棚に入れています
本棚に追加
「わぁ・・・・・・」
カラフルな光と映像の洪水。
初めて観るプロジェクションマッピングは言葉を失うほど素晴らしかった。
廃ビルだけだとこじんまりした物になるのでは・・・との杞憂をよそに、どうやら廃ビルの隣接したオフィスビルにも了解を得てあったらしく、規模は思いのほか大きく、その壮大さと豪華さに目を奪われた。
映像の細かい部分を近くで見たくなり、公園内で通りに一番近い芝生の小丘へ移動した。
腰までの高さの柵に身体を預けながら、次々と移り変わる映像を夢中になって眺めていると、左隣にいた亮平がポソリと呟いた。
「綺麗だな」
「うん。本当に」
「・・・・・・・・・」
ふと視線を感じて隣を見ると、亮平がこちらをジッと見ていた。
熱のこもった目。
切ないような、何ともいえない表情。
思わずドキッとして、パッと視線をはずし、前に向きなおった。
「なに?」
「・・・・・・いや、別に」
「そう・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
微妙な沈黙。
だ、だめだ。なんか落ち着かない。
早くこの雰囲気を変えなくては。
最初のコメントを投稿しよう!