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「ねえ! な、なんか少し寒くなってきたね!」
誤魔化すためになんとか話題を・・・・・・と、必死にひねり出したのは、お決まりの天気や気候に関する内容。
あぁ、なんという発想の乏しさ。
だけど、これは全くの見当違いな内容ではなかった。
春とはいえ、まだ早春。
夜は結構冷える。
さっきまではアルコールが入っていたせいであまり感じなかったけれど、酔いが醒めてきた今、カーディガンを羽織っている程度では肌寒く感じていたのも事実だった。
「何かアウター持ってこれば良かった」
両腕を抱えるようにしてさすっていると、ふわりと暖かい何かが肩にかけられた。
えっ?
かけられたのは、男物のジャケット。
バッと勢いよく左隣を見ると、亮平の少し照れくさそうな横顔があった。
「着とけよ」
言葉と同時に、頭をポンとされて。
「ッ・・・・・・ありがと・・・」
うわー。ナニコレ、ナニコレ。
なんか・・・・・・めっちゃはずいんですけど。
空気を変えようとしたのに、もっとこそばゆい空気になったじゃん!
「亮平は大丈夫? 寒くない?」
「アルコールで火照ってるから、ちょうどいい」
「そっか。じゃ、ありがたく使わせてもらうね。また寒くなってきたら教えて?」
「ん」
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