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「……――央。理央!」
ハッとして声のほうをみると、麻衣子がこちらを見ていた。
「どうしたの? ぼんやりして」
「あー……ちょっと酔っちゃった、かも」
「えっ。理央にしては早いじゃん」
うん、だよね。酔ったせいにしただけで、本当はそこまで酔ってないし。
「ねぇ、ところで亮平とはどうなってんの? 話に聞いてる限りじゃ、アンタたち、結構イイ感じなんじゃない?」
ニヤニヤ顔で、からかい半分だけど、無邪気な麻衣子の問いに。
私は、なんて答えたらいいのか分からなかった。
あの時―――プロジェクションマッピングを亮平と並んで観ていた時までの私であれば、もしかしたらこの問いに「うん」と答えていたかもしれない。
亮平のことは、少しずつ少しずつ、だけれども確かに、恋愛対象として気になり始めていたから。
だけど……
「ん~……なんとも」
笑って誤魔化したけど、きっとぎこちない笑顔だったはず。
麻衣子は何か察したようで、それ以上ツッコんでこなかった。
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