女郎瀧

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 そして今日で、あの出来事からちょうど1年が経ちます。  あの日からしばらくは不安な日々を送っていましたが、今のところ私達に特段変わったことは起きていません。  ただ、後日竜也君から聞いた話なのですが、車の中を掃除していると、三列目の座席から心当たりのないすごく長い黒髪が何本の見つかったそうです。もしかすると私達と一緒に、山を下りてきてしまったのかもしれません。  あれ程の怨念が渦巻く場所に、ふざけて足を踏み入れてしまったことを今でも後悔しています。あの怨念に触れた私達が、これから先無事に暮らしていけるのかは、まだ誰も知りません。
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