第1章

4/7
前へ
/31ページ
次へ
「聖月君…」「聖月君…」 二人もつられて笑顔になる。 しばらくそうしてから、 聖月はキョドりながら立ち上がった。 二人に優しく見つめられ、 少し恥ずかしくなったのだ。 「さ、さて、俺は洗い物しますね。 お二人はゆっくり食べてくださいね」 いそいそと立ち上がる聖月を尻目に 怜が口を開いた。 「ね~聖月君。 今日は類とデートしたんでしょ? 今度は僕とでかけようよ?」 「デート、じゃありませんよ」 いや、スーパーに行っただけなんだが。 でも。提案自体は賛成である。 「そうだね~。 でも聖月君は俺のだからね?」 「残念だね。 聖月君はまだここに住み始めて 1日しかたってないのに なんで、聖月君が俺のもの宣言 してるの。バカじゃない? ね? 聖月君?」 カチャカチャ。皿と皿がぶつかって軽やかな音が鳴る。 「そ、そうですね。 また怜さんともお出かけしましょうね」 苦し紛れに頷くと、怜さんが 小さくガッツポーズをとった。 「チェ」 類が小さく口を尖らせた。 聖月はそれらをほのぼのしながら見つめていた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

58人が本棚に入れています
本棚に追加