第1章

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俺は中学卒業まで山形にいた。 中3の時に、親元を離れてうちに来ないか、と東京に住む親戚に言われた。 その時は実家を継ぐ気なんてさらさらなかった。 親戚は東京で飲食店を経営していた。 しかし、その家には男の子供がいなくて、娘が2人いたが、既に結婚。嫁に行ってしまったのである。 両親は、俺の弟に家を継がせればいいと考えたから、僕がいった。 今考えたらなんで長男の俺が行かされたのかわからないけど、その時はなんの疑いもなかった。 俺が東京に行ってすぐ、次女の夫が急に親戚の飲食店を継ぐと言い出した。 もともと居候ではなく部屋を借りていた僕は別に痛いものはなかった。 継ぐと思っていた店を取られたが、別に恨みとかそういうものはなかった。 ー欲はないのかー おじいさんの言葉がよぎる。 なぜあの時、別の僕が欲しいです。なんて言ったのだろう。
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