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胸が詰まった。
次の声が涙声になりそうであった。
だけど、ここは堪えなければ・・・
私が受話器の向こうでこんな感傷に浸っていることなど
決して悟られたくはない。
私のちっぽけなプライドだ。
私のせめてものまだある抵抗だ。
まだ私はそんなものを捨て切れてはいないのである。
そんなものをまだ私は
後生大事に抱えているのであった。
それなのに、私はどうなるかもわからない
扉を開こうとしているのである。
自分の気持ちを押し殺してまで、
たった一つそこにあるだろうかという
細くて弱い1本の紐に
繋がろうとしているのである。
私はこんなふうにしか生きられないのだろうか・・・
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