三話

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 過去の自分が未来の自分に会うなんて、その辺の本を読み漁れば意外と見つかりそうですが、まさか自分がそれを体験することになるなんて思いもよらなかったのです。  マワタさんとミズキさんの後ろをついて歩くと、町並みはやっぱり近代的でした。  変わっていないのは電車と改札くらいです。乗用車に関しては金平糖みたいな形のタイヤをしていました(しかもカラフル)。 「あれ、過去の人間を呼び出すよりは……おばあちゃんになってる私に聞いたら良かったのでは?」 「それは……その」  マワタさんが言葉を濁します。 「作ったなら、試したくもなるだろ」  ミズキさんはさくっと言ってのけました。なんというか、気持ちはわからなくもないのですが……。  ミズキさんの家は、円柱型のマンションでした。  エレベーターに乗り込むと、やっぱりタッチパネルで音もなく上がっていきます。なんだか緊張してきました。 「あの、私の旦那さん……おじいさんはどんな感じですか」 「小さい頃に亡くなったから覚えてない」 「そうですか」
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