0人が本棚に入れています
本棚に追加
未来の世界には鉛筆なんてなくて、小指の爪くらいの小さな石を身につけて、文章やビジュアル化したい内容を考えて文章にできるとのこと。
落とさないようにアクセサリー状にしているのが一般的だとか。
「質問文章を見て、言葉にして答えづらいことは想像してもらえればいいから」
チョコレート色の髪の男子、冬野マワタさんは穏やかに微笑みながら言って、こちらの緊張を取ってくれているようでした。
「……技術の進歩って怖い」
私はもう整っている呼吸を改めて深呼吸で整えて、目の前のガラス板モニターに向き合います。
「いつでも良いですよ」
「じゃあ、はじめるね」
モニターから3Dで質問文章が出てきましたが、はたして、これを3Dで飛び出させる必要はあったのでしょうか。
最初の方に生年月日と氏名と住所を記入する欄がありました。
思い出すだけで入力されるなんて手軽ですが、脳内ハッキングとか、嘘とかついたらどうなるんだろうとか……。
「どうかした?」
「いいえ」
過去の暮らしの資料から作成したと説明を受けた質問の内容は、私にとっては身近なことばかりでした。
最初のコメントを投稿しよう!