旅立ち

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写真立てを眺める私の手から すっと抜き取ると机の上に伏せた 「奈央子……」 熱い瞳が私を包みこむ 両手で頬をはさみ親指で私の目の下を撫でる 「やっとふたりきりになれた……逢いたかった」 「私も」 潤んだ目を春美に向け 彼の額にかかる前髪をそっと撫でた 温かな吐息とともにお酒の匂いが ほんのり香って唇が落ちてきた 私の唇を覆い尽くす甘くてせつない感触に クラクラする ベッドに寝かされ 首元に熱い唇を這わせる春美の頭を ギュッと抱きしめた 「……………ん」 彼の指が服のボタンにかかったとき ピピッとお風呂のお湯がたまった合図 「奈央子お風呂入ろ!」 起き上がった彼は私の身体を引っ張り上げた
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