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「朝晩は肌寒くなってきたね」
「ああもう秋も半ばだものな」
朝の陽射しがあたるベンチに座った私達は
公園の周りをグルリと取り囲む木を
見上げていた
赤茶色や黄色に染まった葉っぱが
時折ひらひらと舞い落ちる
夏のあのジリジリした暑さから一転して
晩秋の景色
青々としていた木々の枝が
今は寒そうに揺れている
ハナが茶色くなった芝生を
クンクンと鼻をつけて歩き回っていた
「奈央子は覚えてるかな?」
「うん?」
「毎朝ここを通って幼稚園に行くのに
満開の桜の時期になると行きたくないって
駄々をこねてたのを」
「ああそうだったね
私…桜が大好きで帰ってきてからも
毎日ここに来てたっけ
仕事帰りのお父さんが
いつも私を見つけて一緒に帰ったね」
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