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「―――――ここが、クランディネールか。」
先程までの殺風景な景色とは一転し、辺りには色々な店が顔を出していた。
石畳が敷かれた道は、人で埋め尽くされ「賑やか」の一言に尽きる。
大きな太陽がちょうど真上に昇るこの時間帯は、買い物に来る客や遊びに来る客でいっぱいになる。
俺のいた村では見たことの無い景色だった。
と、圧巻の景色に圧されていると、横から野太いが明るい声が聞こえた。
「おーい、そこの黒髪のにぃちゃーん」
声のした方を見ると、頭に赤いバンダナを巻いたガタイの良い男がこっちを見ていた。
目が合った俺は、指で俺の顔を指して「俺?」というジェスチャーをして確認した。
確かに俺は黒髪だが、声をかけられるような要素は無い筈なんだが。
目が合ったままのその男は、コクコクと二回頷き、ちょいちょいと手招きをした。
俺は重い荷物を担ぎながら、男の方へと重い足を動かした。
「な、何か...?」
近くで見るとガタイの良さがよく確認できた。
目を細めたその男は、なんとも言えないオーラを滲み出させていた。
つまりはだ、俺はビビっていたというわけである。
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