【本編】

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…尚、準備の都合上、 お手数ですが10月15日までに返信用はがきにて出欠をお知らせください。 「………」 うわ、…。 「お母さん、これ…もう締めきり過ぎてるんだけど」 今日は11月1日だ…。 「ええっ!?そうなの?…ついこの間届いたと思ったんだけどねぇ…」 ”可笑しいわねぇ~?”と、すっとボケた声で、母は台所へと姿を消した。 いっつも都合悪くなるとすぐに、逃げるんだから… 「もーー、 なんでもっと早くに連絡くれなかったのよ!!」 「…アンタねぇ、同窓会のはがきがそんなに大事なものだなんて、私… 今まで一度も聞いた事無かったんだけれど? しかも、そんなに大事なものなら 事前に友達に連絡して自分の住所の所へ送ってもらえば良かったじゃない」 「……」 「目と鼻の先に居る癖して、 アンタが私を責める資格なんて無いでしょう? また次の機会に行けばいいじゃないの。 ほら、御味噌汁冷めちゃうわよ」 「……」 分かってないよ、…お母さん。 こーゆーのって、タイミング…ってものがあって。 一度機会を逃すと、中々途中から参加するってハードルが高くなるんだってば。 しかも……なにげに、”第2回 同窓会のご連絡”って書かれてるし。 いつの間に、第1回目…開催されたんだろう……。。 …ハア、と深いため息をこぼして、私はそのままハガキを鞄にしまった。 今更、懐かしい気持ちを思い出した所で、どうにもならない事なんて、痛いほど分かっていたし…別にいいのだけれど。 少しだけ、ほんの少しだけ… 大人になった牧田君を見たかったって思っただけ。
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