ミライ

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このまま道を逸れて、闇の中に走り去りたいような気分になる。白い息を吐きながら、暗闇の中でぼんやりと光る提灯を眺めていた。 ゴーーン、ゴーーン、 十二時になったらしい。まだ階段の途中で、鐘の音が響き渡る。 「明けましておめでとうございます」 「今年もよろしくお願いします」 あちこちから新年の挨拶をする声が聞こえてきた。 階段を上りきると、縁日のような活気に溢れた境内に出た。人が溢れ、松明が燃え上がり、お坊さんが大きな鐘を突いている。僕たちは参拝への列へと向った。 「あそこのテントで甘酒が貰えるらしい。貰っといで」 参拝が済むと、お爺さんは新年の挨拶にへと、知り合いが集まる輪に入って行った。少し不安ではあったけれど、雪道を歩いてかいた汗もすっかり引き、何か温かいものが欲しいなと思っていたので、僕は甘酒の列に並んだ。 お爺さんはあっちにいるからなと人が集まっているテントの方を指さした。こくりと頷く。 「はい、どうぞ」 恰幅のいいおばさんに紙コップに入った甘酒を貰った。ぺこりと頭を下げて受け取り、冷えた指先を温める。
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