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雪がはらはらと降る大樹が連なる深い森の中、二人の少年がいました。
まるで少女のように愛らしい顔立ちの彼と、儚げで中性的な容姿をした彼は向い合って座っていました。
「僕が死んだら、××が僕のこと生き返らせてくれる?」
少女のような少年は、儚げな少年の手を強く握って言いました。儚げな少年よりも少々小さな身長の割りに、その手は儚げな少年よりも少し大きいものでした。
少女のような少年の大きな手を強く握り返し、儚げな少年は笑顔をうっすらと浮かべました。
「うん、僕が絶対、また僕と会わせてあげるからね。」
その言葉を聞いて、少女のような少年も笑顔を浮かべました。
「でもね、」
儚げな少年は笑顔を止め、顔を下に俯かせました。
「多分……いいや、僕は君が死ぬ前に死んでしまうと思うよ。」
少女のような少年から笑顔が消え、強く握っていた手の力がやわやわと弱くなりました。
「僕は一旦君の前からいなくならなければいけないんだ。いなくなって、また君に会えるまで君と離れて暮らすんだと思う。そうして時が満ちた時に、また僕らは出会い、そして結ばれるんだ。」
俯かせていた顔を上げ、真っ直ぐと少女のような少年の目を見ました。
少女のような少年の手はふるふると震え、影で表情が見えなくなっていました。
「なんで、なんで離れなくちゃいけないの?このままずっと一緒にいて、そのまま結ばれればいいじゃん。」
寒さからなのか、それとも恐怖や悲しみから来るのか不明な震えを放つ手は力なく儚げな少年の頬を掴みました。
「それじゃいけないんだ。それじゃ……」
結局いつか離れてしまうんだよ。そう続けた儚げな少年の目からは涙が溢れ出ておりました。
瞬間、少女のような少年が掴んでいた頬が一瞬にして薄れ、消えていった。
なんの跡形もなく、なんの拍子もなく、それは突然起こりました。突然襲ってきた別れ。
「…ってことは、またいつか逢えるんだよね?必ず……。」
少女のような少年は、先程消えてしまった儚げな少年の頬を掴んでいた手を逆の手で握りしめ、まるで自分の身を守るかのように蹲りました。
「必ず遭ってみせるよ、ナギ……──」
白い雪が赤く染まった。
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