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「どんなことでも、想定外の出来事はあるものだよ。そのために、私達は、もしものために、保険を掛ける。
進学の時に、滑り止めを受けるのも、就活で、何社も受けるのも、同じことだよ。
花澤君、君は、将来の夢のために、努力してるし、駄目な時には、こうしよう、ああしようって、きちんと考えて行動しているんだって、よくわかっているよ。
なら、もうひとつ、そこに、加えてみないかい。新しい選択肢を。」
「…新しい選択肢ですか?」
「実はね、今日は、君を内にスカウトに来たんだよ。」
「スカウトって…協会のですか?」
「そうだよ。それ以外に、何があるんだい。
協会は、財団法人だからね、特殊だし、一般企業の様な求人募集をしてる訳じゃないんだ。
必要な時に、必要な人材を、個別に採用しているんだ。常勤、臨時含めてね。
私は、ここのOBでね、必要があれば、良い人材がいませんかって、声を掛けさせてもらっていたんだ。
君のことは、入学の時から、注目していたんだよ。
アスリートとしての君は、素晴らしいと思うよ。だけど、それ以上にね、興味深いのは、君、日本陸連の公認審判員、取ってるだろう。
18歳からとれるって言っても、現役で活躍中の学生が取るのは、珍しいなと思ってね。
ねえ、その資格を活かす気はないかな?
協会の理事なんていうのは、対外的な部分では、とても力強い存在だけど、協会の実務に関わる現場の人間は、ほとんどいないんだ。
そういうことで、運営は、事務局に委されてるんだけど、事務局もあまり、人の入れ替わりないし、出来たら、若くて現場のわかる人間がいると、助かるんだけどね。
花澤君の都合もあるだろうし、考える時間も必要だよね。
教員採用試験の結果次第で構わないから、一度、考えてみてくれないかな?」
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