暑い夏…

7/16
前へ
/430ページ
次へ
「透、すごいじゃない。スカウトだなんて。」 「でも…香里奈と約束したこともあるし、努力してきたこと無駄にしたくないし…。」 「私は、無駄になんかならないと思うけどなぁ。」 「どうして?」 「私ね、体操出来なくなって、今までの努力も、それに掛けた時間も、みんな無駄になったと思ってた…。でも、そうじゃないんだって、今は、思えるよ。 あの時の私は、二度と夢なんて持てないって思っていたの、でも、今は、また、夢を持ててるよ。前より、沢山の夢を持ててるよ。…どうしてなんだろうね? 何もないところから、なにか産み出すなんて、私には、無理。 今までの経験や沢山の想いがあったから、出来たことなんだよ。 透…協会の人は、採用試験受けちゃだめなんて、言ってないじゃない。 私との約束、あなた自身の決心を形にしたいなら、今、全力を出さなきゃ、駄目だよ。 答えは、結果次第で、考えていいって言うんだから、それでいいじゃない。甘えちゃいなよ。」 「…やっぱり、香里奈に相談して、正解だな。 香里奈は、俺の背中をいつでも、やさしく押し出してくれるな。ありがとう。頭の中、整理できたし、気持ちに、ちゃんと方向付け出来たよ。 今は、全力で、採用試験に合格することだけ考える。努力を最後まで、し続ける。」 「うん、それでこそ、透だよ。お互い、頑張ろうね♪」 香里奈は、そう言って、ギュッと抱きついた。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加