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今思えば、香里奈が、無駄に、俺にまとわりついていたのは、それだけじゃなかったのかもしれない…。
教員採用試験模試の香里奈の結果が、予想より悪かったせいで、彼女は、不安になっていたからかもしれない。
模試の合格判定結果は、悪くなかったんだ。
だけど、試験の後の自己採点で、自信のあった問題をことごとく外しちまったから、ちょい落ち込んでたんだよな。
教職に掛ける熱意や決心は、ペーパーテストに反映されないからな…。
第一関門のペーパーで、大多数が、ふるい落とされるんだ、ナイーブにもなるさ。
香里奈にしてみれば、苦悩の先に、やっと見つけた新しい夢なんだ。なんとしても、叶えたいに決まってる。
だけど、一度、躓いて、痛い目をみてるからか、変なところで、臆病になってるのも確かだ。
そこへ持ってきて、かつてのライバルが、華々しく活躍してるとなれば、精神的に、追い詰められても仕方ないか…。
だからといって、香里奈が、そのイライラや不安を、家族にぶつけていいわけない。ましてや、それで、彼女が、スッキリしたのならともかく、落ち込んじまうなんて…。
で、いたたまれなくなって、合鍵を持ってる俺のところに、逃げてきた訳だが…俺が、帰るなり、協会のスカウト話しちゃったから、話辛くなっちまって、結局、グダグタやってたわけね…。
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