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「とりあえず、お互い、お疲れ!」
暑い夏、冷たく冷えたビールは、体に染み渡る。
ショッピングモールの屋上に設えられているビヤホールの一角に、俺と小野寺は、座っていた。
「なあ、透。お前、本当に、正規採用、ダメだったのか?」
「ああ…。でも、仕方ないよな、これだけは。
いくら希望しても、選考するのは、教育委員会の人達で、俺自身じゃないんだから…。」
「だけど…俺と違って、お前、教職一本だろ。大丈夫なのか?」
「ありがとう、小野寺。大丈夫だよ。
非常勤と臨時教員の名簿への登録希望は、出してきたから、運がありゃ、年度の途中からでも、教壇つけるし…。
それに、まだ、来年も、再来年も受けれるんだぞ。俺、これからも、受ける気は、満々だから気にすんなよ。」
「だけどさぁ…。」
「本当に心配ないって…。」
笑ってみせるが、小野寺は、まだ、俺の言うことを、信用しきれないって顔をしていた。
「先輩に聞いた話だとさ、非常勤…特に、長期の病欠とか、不祥事の穴埋めとかの代理教員はさ、いきなり言ってくるらしいからな。
バイトも本腰いれらんないらしいぞ。
生活費とか、どうするつもりだよ。」
「…わかんないよ、先のことなんて。」
「そうも、言ってらんないだろ。藤咲ちゃんのことだってあるし…。」
「香里奈に食わせてもらうかな…。」
「アホか!お前は!なに考えてんだよ!」
「わ、わ、小野寺、落ち着け!…じょ、冗談だから、さっきのは!」
慌てふためく俺がいた。
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