暑い夏…

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「…就職先、当てがないわけじゃないんだ…ただ、ちょっとな。」 「ちょっとって、何なんだよ?…怪しい会社なのか?」 「それはない。大学のキャリアセンターも、咬んでる話だし。俺にとっちゃ、悪い話でもないんだ。 だけど、こんな、楽して、仕事決めちゃって、いいのかな…とか、教師になるために、ここへ来たのに、違う道に進んで、いいのかな…とか、考えちまうんだ。」 「人間、夢を追うにも、それなりのものがいるんだぞ。 黙ってて、それが、手の中に転がり込んで来るのかよ? みんなチャンスを逃さないように、必死こいてんだぞ、そのチャンスを、自分から捨てんのか?」 「…小野寺。」 「ほら、俺が、判定してやるから、話してみろよ、その美味しい話。」 俺は、協会の人から、職員にならないかと言われた話を、小野寺にしたんだ。 「透、その話、藤咲ちゃんには、したのか?」 「ああ、したよ。」 「藤咲ちゃんは、なんて言ってた?」 隠す必要もないから、正直に、話した。 「お前には、呆れちまうよ…。 花澤透を評価してくれた相手に対して、自分をさ、もっと高く、売り付けりゃいいのに…。 まあ、その点、藤咲ちゃんは、堅実な答え出してんな。 なあ、とりあえず、結果出たんだし、受けるにしても、断るにしても、声かけてくれた協会の人に、報告はしなくちゃな。 そこからは、それ、お前の腕次第じゃん。 保険掛けたままで、お前の夢にどれだけ費やせるか、探りいれてもいいんじゃない。 それに、話如何では、バイトぐらいは、斡旋してくれるんじゃねぇか。」 小野寺の考えは、香里奈以上に、しっかりとして、筋が通っていた。
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