実りの秋…

2/13

121人が本棚に入れています
本棚に追加
/430ページ
「おかえり!花音!…それから、金メダルおめでとう!」 「みんな。ありがとう!私、スッゴク嬉しい♪」 10月の連休、久々に地元に帰ってきた花音を囲んで、仲の良かった女の子達が、ちょっとしたパーティを開いていた。 「花音…念願の世界選手権、出場と金メダル、本当に、おめでとう!」 「香里奈…。」 「ちょっと、花音…。」 花音が、香里奈を、ギュッと抱き締めていた。 「…私ね、香里奈に、もう会ってもらえないんじゃないかと思ってた。」 「どうして、そんなこと思うのよ。 私は、花音の親友だよ。なんで、会わないなんてことになるの?」 「だって、だって…。」 私の右肩を、そっと撫でながら、花音は、涙目で言った。 「香里奈…本当に、体操やるのは、もう無理なの? また、私と一緒に、練習したり、大会に出たりしようよ。」 「…流石に、大会は、無理だよ。ごめんね。 私の右肩ね、もう、難易度高い技には、ついていけないの…最初に、お医者様に、言われた時に、意地張らずに、治療すれば良かったんだよね…。 代表とか、順位とかに、しがみつきすぎて、私、タイミング逃しちゃったんだ…。 ああ、もう、花音…そんな顔しないで。 今は、ほら、普通に動かせるし、基礎トレぐらいは、付き合えると思うよ。 そろそろ、体をほぐし始めなきゃ、春から、困るしね。」 「…春から?」 「うん、私ね、卒業したら、学校の先生になるんだ。春からは、新米の体育教師だよ。」
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加