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「…林下さん、これじゃあ、陸連の審査に通らないですよ。」
「あれぇ…なんか、私、間違えてる?」
「書類は間違ってないですけど、公式記録の添付書類足りないですよ。
今月の初めに、陸連から来てた文書に、書類の変更箇所と添付の件、ありましたよ。」
「あら、私ったら…大変。ねぇ、花澤君。その文書って、どれかしら?」
「えっと、ちょっと待ってくださいね。…ああ、ありました。」
10月の終わり、透は、県陸協で、事務局の仕事を手伝っていた。
実は、小野寺と飲んだ次の日、陸協の事務所に片山を訪ね、教員採用試験の報告と自分の思いのすべてを、透は、語っていたのだ。
「俺は、ものすごく我が儘を言ってるって、自覚してます…。
でも、片山さんにしか、ご相談も、お願いも、出来なくて…。」
「花澤君。君が100%納得出来るような返事をしてあげたいと、私個人は思うんですよ。
しかし、私にも、いろいろ立場と言うものがありましてね…。
正式に内で働いてもらえない人に、そう簡単に、『welcome!』と、両手広げて歓待するわけには、いかないんですよ。」
「そうですよね…普通。すいませんでした。さっきの話は、聞かなかったことにしてください。
お声掛け、本当に、ありがとうございました。」
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