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「…えっ!?…環が、そんなことを。」
「環ちゃんは、環ちゃんなりに、考えてるのよ、どうすれば、みんなが、仲良く暮らせるか。本当の家族になれるかって。」
「…本当に、俺、ダメな兄貴だな。」
昨日の夜掛かってきた電話のことを、透に話すと、透は、考え込んでしまった。
「透?」
「ああ、ごめん。…俺は、もっと、広い視野と大きな心根で、香里奈や環だけでなく、家族みんなを思わなきゃいけないよな。
あのさ、俺、兄貴に連絡取って、環の気持ちと提案を話してみる。
必要なら、友紀とも、話すよ。」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。俺も、いつまでも、引き摺ってられねぇよ。
環の気持ち、大事にしてやんなきゃ、俺、兄として、失格だからな。
それにさ、いいかげん、白黒はっきりしなきゃ、香里奈に心配ばっかり掛けることになるからな。
去年の夏からだって、1年以上経ってんだ。俺なりに、強くなってるつもりだよ。兄貴と、いつまでも、距離とってるわけにゃ、いかねぇしよ。」
私が、気にしてるのは、お兄さんとのことじゃなくて、友紀さんとのことだよ…。そこのところ、わかってんのかなぁ…透は。
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